人と森の関わり
太古の地球では大陸のほとんどが森で覆われていました。森はそこに住む生き物に灼熱の太陽から遮る日蔭を、雨の日には雨やどりの場を提供し、木々の樹液で虫を養いその虫を捕食する鳥類を育て、樹上には小型の哺乳類を宿らせ多くの生き物を育んで来ました。
やがて人が現れるようになると、人もまた図り知れない恩恵を森から得ることになります。木々の落ち葉は肥料として農耕に用いられ暖炉で燃え盛る枯れ木や枝は人々に冬の寒さを忘れさせ、かまどの火は日々の温かい食事を提供して来ました。かがり火や松明は魑魅魍魎に囲まれた暗闇を照らす貴重な照明となりました。また何よりも森が育んだ木材は神々の社として、そして人々の住まいの建築材として提供されて来たのです。
人は森と積極的に関わり合い、森から多くの恩恵を受けると同時に、森を大事にして共に生きて来たのでした。
忘れられた森の尊さ
科学技術の発展による急速な工業化の波により多くの人々が農業から去って行き、工業化のための労働力となりました。工業化は森の恵みである建築材、燃料、肥料等の代替物を次々と世に送り出し人々に森の恩恵を忘れさせることになりました。
利用価値の無くなった森は廃れ、多くの人々は森から遠ざかり、森はノスタルジーの象徴として遠く都会から眺められるだけの存在となってしまいました。
そして今また森へ
そして今、人はようやく環境の尊さに再び目覚めつつあります。環境を汚染し残留する物質の排除、化石燃料の無駄遣いから脱却し再生可能なエネルギーを模索するなど環境汚染に対抗する様々な手段が取られる様になり、里山を有効に利用するための多彩なアイデアも相次いで発表されています。
森はようやく日の目を見る一歩手前まで来ています。
森でアートと出会う
森の重要性を認識した上で日本人に森は好きかと問えば好きと答えるでしょう。だがその森は頭の中にあるイメージとしての森であり、具体的にいつも足を踏み入れる森のことではないのではないかと思われます。それ程今の日本人が森から遠ざかっていた時間は長かったのです。
森は私たちの来訪を待っています。
いや我々はもっと足を運ばねばならないのです。
森に身を委ね森と共に呼吸しかつて森と共生していた時間に思いを巡らす、私たちNPO法人美しい日本の森と藝術は芸術活動が人々に森に足を運ばせる一つのきっかけになってほしいと願い森で芸術活動を展開します。
「藝」の字源を辞書に問えば、それは人が植物に手を添え地面に埋める様を示した会意文字であることがわかります。このことから藝術とは本来美術館に収蔵されるものではなく、森や風土と密接に結びついていたことが想像できます。したがって「美しい日本の森と藝術」の活動は、藝の字がその本来の意味を取り戻すための試みともいえます。
「藝」という字を立木のシルエットに重ねたこのロゴには、乖離してしまった森林と藝術を再びひとつのものとして捉えようという意図が込められています。
代表 | 村樫 信行 |
---|---|
理事 | 廣瀬 悦久 |
理事 | 五木田 通夫 |
理事 | 妹尾 大五郎 |
理事 | 廣瀬 美智俊 |
理事 | 白相 淑久 |
監事 | 篠田 文治 |
事務局長 | 大熊 貞雄 |
主な正会員 | 大川 欽也、小佐原 孝幸、北島 厚次、武宮 治則 |